法人の新規開拓・販路開拓の方法を、テレアポ・フォーム営業・メール営業・郵送DM・FAX・展示会・紹介の7つで比べます。費用と手間、向く相手の違い、どの手法でも最初に要るターゲットとリストの作り方、小さく試して広げる始め方、製造業・士業の例、取引先や代理店を探す場合までまとめました。
新規開拓の方法は数が多く、「どれから始めればよいか」で止まりがちです。電話、フォーム、メール、郵送、展示会、紹介と、どれも使われている手法で、どれか1つだけが正解ということはありません。会社の商材、相手の業種、かけられる人手によって、合う手法が変わります。
この記事では、法人営業の新規開拓の手法を7つ並べて比べ、どの手法でも最初に必要になるものと、小さく試して広げる始め方を説明します。各手法の詳しいやり方は、それぞれの記事へのリンクから読めます。
新規開拓と販路開拓は、どう違うか
2つの言葉は重なる部分が大きく、同じ意味で使われることもあります。この記事では次のように使い分けます。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 新規開拓 | まだ取引のない会社に営業して、新しい取引先を増やすこと | 近隣の飲食店にテレアポで商談を取る |
| 販路開拓 | 商品が売れる道すじそのものを増やすこと | 卸や代理店を通す、ネット通販を始める、別の業種に売り先を広げる |
新規開拓は「会社を増やす」ことで、販路開拓は「売り方の道を増やす」ことです。新規開拓を続けた結果として販路が広がる、という関係です。どちらから考えても、最初にやることは同じで、後の節で説明します。
手法を7つ比べる
次の表は、法人営業で使われる主な手法の特徴です。費用や効果は商材や相手によって大きく変わるので、数字ではなく「〜のことが多い」という傾向で書いています。
| 手法 | 費用 | 手間 | 向く相手 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|---|
| テレアポ | 通話料と人件費のことが多い | 1件ずつ話すので大きい | 電話番号を公開している会社。個人店から中小企業まで | テレアポのコツ |
| フォーム営業 | 手作業なら人件費のみのことが多い | 文面を作れば、あとは送る作業 | 問い合わせフォームのある会社 | フォーム営業の基本 |
| メール営業 | 配信ツールを使うなら月額が出ることが多い | 文面と配信の管理 | メールアドレスを公開している会社 | 営業メールの書き方 |
| 郵送DM | 印刷代と郵送料が1通ごとにかかる | 宛名の準備と発送 | 電話・フォーム・メールが少ない業種 | DMリストの作り方 |
| FAX | 通信費のことが多い | 文面は1枚にまとめる | FAX番号を公開している会社 | FAX営業の法律 |
| 展示会 | 出展料とブースの費用がかかることが多い | 準備と当日の対応が大きい | 来場者が自社の商材の業界に絞られる場合 | 開催元の案内で確かめる |
| 紹介 | 紹介料を払う場合を除き、少ないことが多い | 関係づくりに時間がかかる | すでに取引のある会社の周り | 既存のお客さんに聞く |
7つの手法は、大きく2つに分けられます。
- こちらから送り先を選んで連絡する手法:テレアポ、フォーム営業、メール営業、郵送DM、FAX。数を打てる反面、送り先のリストがないと始まりません
- 出会いの場を作る手法:展示会、紹介。1件あたりの質は高いことが多い反面、数を増やしにくくなります
Webサイトやブログ、広告で問い合わせを待つ「Web集客」もあります。成果が出るまでに時間がかかるので、上の7つと並行して育てる使い方が多くなります。
手法は、相手が開けている窓口で選ぶ
どの手法が使えるかは、相手の会社が連絡先をどこまで公開しているかで決まります。リストハブに収録している企業・店舗のうち、47都道府県の住所がある2,755,460件(約276万件)を2026年9月30日に数えると、電話番号がある会社は94.7%、お問い合わせフォームがある会社は60.3%、メールアドレスがある会社は19.6%でした。
メール営業だけに絞ると、届く相手は2割弱です。電話とフォームを加えれば、ほとんどの会社に連絡する道が開けます。業種ごとの違いは「業種別に数えた記事」で一覧にしています。
どの手法でも、最初に要るのは「誰に送るか」を決めてリストを作ること
展示会と紹介を除く5つの手法は、すべて「連絡する相手の一覧」がなければ動きません。手法の比べ方に時間をかける前に、次の2つを決めます。
- ターゲットを決める:業種、地域、会社の規模のうち、自社の商材が役に立つ条件を書き出します。「どの会社でも」では、文面も電話の話し方も定まりません
- 条件に合う会社の一覧(営業リスト)を作る:会社名、住所、電話番号、フォームのURLなど、使う手法に必要な列を集めます
営業リストの作り方(必要な件数の逆算、項目の選び方、集め方)は「営業リストの作り方」にまとめています。リストができたら、連絡する順番と結果の記録の列を足して「アタックリスト」にします。新規開拓がうまくいかない原因は、手法の選び方よりも、リストの条件があいまいなことや、結果が記録されていないことにある場合が多く見られます。
始め方の手順:小さく試し、反応を記録して、広げる
最初から大きく始めると、外れたときの損が大きくなります。次の順番で進めると、少ない費用で自社に合う手法が分かります。
- ターゲットを1つに絞る:業種と地域をそれぞれ1つ決めます。例として、ある市の製造業にします
- 100〜200件のリストを作る:まず少ない件数にします。件数を決める目安は、1週間で連絡し終えられる量です
- 手法を2つ選ぶ:相手が開けている窓口から選びます。電話番号とフォームがある会社が多いなら、テレアポとフォーム営業が候補です
- 同じリストを半分に分けて試す:前半の会社には手法Aで、後半には手法Bで連絡します。同じ条件で比べられるので、どちらが合うかが見えます
- 結果を同じ区分で記録する:「つながった」「資料を送った」「商談の約束」「断られた」のように区分を先に決め、全員が同じ言葉で書きます
- 結果を見て、広げるか直すかを決める:商談が出た手法は件数を増やします。反応がなかった手法は、文面や話し方を直してもう一度小さく試します。ターゲットが合っていなかったと分かれば、1に戻ります
商談に至った割合は、商材や業種で大きく変わります。他社の数字を目標にするより、自社の小さな試験で出た割合を基準にするほうが、判断を誤りません。
業種別の例
ターゲットにする業種で、開けている窓口は違います。リストハブの2026年10月10日時点の集計から、2つの業種を見ます(全体の数字の集計の方法は記事の最後に書いています)。
| 業種 | 収録件数 | 電話番号 | メールアドレス | フォーム |
|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 129,325件 | 88.1% | 22.8% | 66.5% |
| 士業・コンサル・専門サービス | 110,155件 | 94.3% | 24.8% | 63.8% |
製造業
電話番号の公開率は全体より低めで、フォームは全体より高めです。FAXの公開率も14.2%と、全体の8.5%より高くなっています。担当者に直接つながりにくい業種でもあるので、フォーム営業を軸にして、FAXや郵送DMを組み合わせる使い方が考えられます。FAXを送る場合は、特商法の決まりがあるので「FAX営業の法律」を先に読んでください。
士業・コンサル・専門サービス
電話、フォーム、メールのどれも比較的そろっています。メールアドレスの公開率は24.8%で、全体の19.6%より高くなっています。窓口が多い分、手法を比べる試験をしやすい業種です。ただし、士業の事務所は営業の電話やメールを日常的に受けている場合もあるため、相手の悩みに合わせた短い文面にする工夫が要ります。
業種別のより細かい数字は「小分類で数えた記事」にあります。
取引先・代理店を探す場合
自社が「売る側」ではなく、仕入先、外注先、販売代理店を探す場合も、進め方は同じです。
- 探す相手の条件を決める:業種、地域、規模、扱っている商品を書き出します
- 条件に合う会社の一覧を作る:営業リストと同じ作り方です。会社のサイトの事業内容を見て、条件に合うかを確かめます
- 連絡の目的をはっきり書く:「商品を売りたい」ではなく、「一緒に取り組める会社を探している」と書きます。代理店を探す連絡では、扱ってもらう側の利点(取り扱いの条件、サポート)を先に伝えます
- 小さく試す:最初の連絡は10〜20社にして、返事の内容から条件を見直します
代理店や取引先を探す連絡も、営業のメールやFAXと同じ法律の対象になる場合があります。メールは「営業メールと法律の記事」、電話は「テレアポの法律」で確かめてください。
よくある質問
新規開拓は、まず何から始めればよいですか
ターゲットの業種と地域を1つ決め、その条件に合う100〜200件のリストを作るところからです。手法を選ぶのは、そのあとです。
費用をかけずに始められますか
電話とフォームは、人件費以外はほとんどかからずに始められます。リストも、ネットで1社ずつ調べて表にまとめれば費用は要りません。手間は大きいので、自分で作る場合と買う場合の費用の比べ方は「営業リストの自作の費用」を見てください。
手法はいくつ同時に使えばよいですか
最初は2つまでにします。多すぎると記録が追いつかず、どの手法が効いたのか分からなくなります。
展示会や紹介は、リストがなくても使えますか
使えます。ただし、展示会で名刺を交換した相手や、紹介でつながった相手も、そのあとの連絡のために一覧にしておくと、フォローの抜けが減ります。
断られた会社には、もう連絡しないほうがよいですか
「今後の連絡は不要」と言われた会社には連絡を止め、断られた会社の一覧にまとめて、チーム全員で共有します。理由を聞いて、時期を改める約束をもらえた場合だけ、その時期に連絡します。
リストハブでできること
営業リストを作る手間を省きたい場合は、リストハブが使えます。地域と業種を選ぶと、該当する会社の件数を無料で確かめられ、必要な分だけをCSVで購入できます。メールアドレスがある会社やフォームがある会社の一覧からも探せます。
基本情報は1件5円(税別)からです。金額は見積りページで確かめられます。
リストを手に入れたあとの動き方にも触れておきます。お問い合わせフォームから営業文を送る作業を自動で行いたい場合は、同じ会社(ミルブレインズ合同会社)のIZANAGIが使えます。AIがフォームの項目を読み取って入力し、送信を行うサービスで、送信先はBtoB商材が対象です。リストを買うより、自分の条件で集めたい場合は、IZANAMIが、公開されている企業・店舗の情報を集めて営業リストにします。
まとめ:手法の比較より先に、ターゲットとリストを決める
新規開拓の方法は、7つの手法を比べると違いが見えますが、実際に差がつくのはその前の準備です。ターゲットを決め、リストを作り、小さく試して記録する。この順番で進めれば、自社に合う手法が数字で分かります。
各手法の進め方は、テレアポのコツ、フォーム営業の基本、営業メールの書き方、DMリストの作り方、FAX営業の法律、市場調査の方法に書いています。気になる手法から読んでください。
集計の方法:リストハブに収録している企業・店舗を、2026年9月30日に集計しました。
- 電話番号・フォーム・メールアドレスがある割合(94.7%、60.3%、19.6%):47都道府県の住所がある2,755,460件のうち、各項目が空でない件数の割合です。会社のものではないメールアドレスは除いて数えています
- 製造業と士業・コンサル・専門サービスの件数と割合、FAXの公開率(全体8.5%、製造業14.2%):「業種別に数えた記事」の表の値です(2026年10月10日時点)
- 100〜200件、2つの手法といった件数や数は、進め方の目安で、調査の結果ではありません
- IZANAGIとIZANAMIの内容は、各サイトの記載(2026年10月16日に確認)にもとづきます
この記事は、営業リストの作成サービス「リストハブ」を運営するミルブレインズ合同会社の編集部が書いています。数字は、リストハブに収録している企業・店舗のデータを編集部が数えたものです。数え方と編集方針は「データの集め方・数え方と編集方針」にまとめています。誤りに気づいた方は、サポート窓口からお知らせください。