FAXで営業案内を送る前に:特商法のFAX広告規制と、メールの法律との違い

法律とマナー 公開 文:リストハブ編集部

FAXで営業案内を送るとき、特定電子メール法は対象外で、関係するのは特定商取引法第12条の5のFAX広告規制です。承諾のない送信の禁止、拒否された後の停止、記録の保存、拒否方法の表示と、事業者あての送信の扱い、送信停止の受け付け方を条文と通達をもとに整理しました。

会社にFAXで新商品やサービスの案内を送る。メールほど多くはありませんが、今も使われている営業の方法です。送る前に知っておきたいのは、FAXにかかる法律がメールとは別だという点です。

営業メールには特定電子メール法がかかります。一方、FAXはこの法律の対象に入っていません。FAXの広告にかかわってくるのは、特定商取引に関する法律(以下「特商法」)の第12条の5です。

この記事では、条文と消費者庁の通達で確かめられたことだけを書きます。確かめられなかったことは「公式な記述は見当たらない」と書いています。あわせて、送信停止の受け付け方と、送信先リストの管理方法を実務の目線で説明します。

FAXは特定電子メール法の対象ではない

特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)は、第2条第1号で「電子メール」を定め、その具体的な通信方式を総務省令に任せています。省令が定めているのは次の2つです。

  • SMTPという仕組みで送る、ふつうの電子メール
  • 電話番号あてに送るSMS

FAXはこの中に入っていません。そのため、メールについて説明される「オプトイン(同意した相手にだけ送る)」や「公表アドレスへの送信の例外」といったルールは、FAXにはそのままあてはまりません。

メールのルールは特定電子メール法の記事にまとめています。FAXについては、次の節の特商法の規定を見ていきます。

特商法第12条の5:承諾のないFAX広告は原則禁止

特商法第12条の5は、通信販売の広告をFAXで送ることについて定めた規定です。主な内容は次のとおりです。

項 内容
第1項 相手の承諾を得ていないFAX広告は、原則として送ってはいけない
第2項 承諾を得ていても、相手から「送らないでほしい」と伝えられたら、それ以降は送れない
第3項 承諾や請求を受けたことの記録を保存する
第4項 FAX広告には、相手が送信を拒否するための連絡方法を表示する

第1項の原則には例外があります。相手から広告を送るよう請求があった場合、契約の内容を知らせるFAXに付けて広告を送る場合、省令で定める場合です。

消費者庁の通達は、FAX広告の送信を他の事業者に任せる場合も、この規制の対象になると説明しています(p.37-38)。送信代行の業者に頼めば自社は関係ない、とはなりません。

自社の取引が特商法の「通信販売」にあたるかどうかは、この記事では扱いません。条文と通達で確かめてください。

事業者あての送信は、適用除外になる場合がある

特商法第26条第1項第1号は、相手が営業のために、または営業として結ぶ契約について、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の規定を適用しないと定めています。第12条の5も通信販売の規定なので、この適用除外の対象になりえます。

ただし、除外されるかどうかは「相手が法人かどうか」では決まりません。消費者庁の通達は、次のように説明しています(p.54)。

  • 相手が事業者・法人でも、一律に適用除外になるわけではない
  • 事業者名義の契約でも、主として個人用・家庭用に使うものなら原則として適用される
  • 実質的に廃業していたり、事業の実態がほとんどなかったりする零細事業者には、適用される可能性が高い

除外は契約の目的で決まる、という考え方です。

FAXを事業者あてに送る場合を個別に取り上げた記述は、通達の中に見当たりませんでした。会社あてに業務用の商品を案内するFAXが、どこまで除外になるかをはっきり示した公式な記述は見当たらない、というのが確かめた範囲での結論です。

相手が個人事業主や小さな店なら、第12条の5が適用される前提で対応します。あとで適用されると分かっても、承諾の記録と停止の受付ができていれば困りません。

送信停止の受け付け方を、FAXの中に書いておく

第12条の5第4項は、拒否の連絡方法を表示するよう定めています。法律が適用されない相手に送る場合でも、編集部は同じ表示を入れることをすすめています。受け取った側が、止め方を探さずに済むからです。

書いておきたいのは次の3点です。

  1. 送信者の会社名・所在地
  2. 送信を止めたいときの連絡先(FAX番号と電話番号の両方)
  3. 連絡を受けたら、以後は送らないこと

FAXの下部に、次のような欄を入れておく方法があります。

今後このご案内が不要な場合は、この用紙の下の欄に貴社名をご記入のうえ、FAX(03-XXXX-XXXX)でご返送ください。お電話(03-XXXX-XXXX)でも受け付けています。ご連絡をいただいた後は、ご案内をお送りしません。

送信停止を希望します 貴社名:______ FAX番号:______

番号は架空の例です。返送用の欄にはFAX番号を書いてもらうと、自社のリストとの照合がしやすくなります。

電話で受けた停止の連絡は、受けた人がその場で記録します。「誰が、いつ、どの番号の停止を受けたか」が残らないと、次の送信で漏れます。

送信先リストには「送らない」印を付けて管理する

第12条の5第2項は、拒否された相手には以後送れないと定めています。これを守るには、送信先リストで拒否した相手を確実に外す仕組みが要ります。

リストに次の列を足しておくと管理しやすくなります。

列 入れる内容
送信可否 「送る」「送らない」のどちらか
停止を受けた日 連絡を受けた日付
受付方法 FAX返送・電話など
受けた担当者 記録した人の名前
承諾・請求の記録 承諾や請求を受けた場合の日付と方法

最後の列は、第12条の5第3項の記録の保存を意識したものです。承諾や請求を受けて送る場合は、その記録をリストと一緒に残します。

運用で気をつけたい点は3つあります。

  1. 「送らない」の行は削除せず、印を付けて残す(削除すると、次にリストを買い足したときに照合できない)
  2. 新しいリストを使う前に、FAX番号の表記(ハイフンの有無など)をそろえてから突き合わせる
  3. メールや電話で断られた会社とも照合する(同じ会社に別の手段で営業を続けないため)

番号の表記をそろえる手順はテレアポ用の営業リストの作り方で、断られた相手の扱いを含むリスト作りの全体は営業リストの作り方で説明しています。

送る前に確かめる5つのこと

FAXを一斉に送る前に、次の順で確かめておくと、送ってはいけない相手に送る事故を減らせます。

  1. 送信先に、個人事業主やごく小さな店が入っていないかを見る。入っているなら、第12条の5が適用される前提で扱う
  2. 承諾や請求を受けて送る相手は、その記録がリストに残っているかを見る
  3. FAXの原稿に、送信停止の連絡先(FAX番号と電話番号)が入っているかを見る
  4. 最新の「送らない」リストと、FAX番号で突き合わせたかを見る
  5. 送信を外部に任せる場合は、委託先にも最新の「送らない」リストを渡したかを見る

5つ目は、送信の委託も規制の対象になるという通達の説明(p.37-38)に対応しています。委託先が古いリストで送ってしまうと、停止の連絡を受けた相手にまた届きます。停止の連絡を委託先が受けた場合に、それを自社のリストへ戻す手順も決めておきます。

リストハブのデータでFAX番号が分かる会社は8.3%

2026年9月30日の集計で、リストハブに収録している47都道府県の2,755,460件のうち、FAX番号が分かっている会社・店舗は229,133件、8.3%でした。業種による差も大きく、病院・医院は14.9%、ビジネスは12.7%ある一方、グルメ・飲食店は2.2%でした(「設立年と従業員数で見る営業の窓口」の業種別の表)。

FAX番号は、電話番号やメールアドレスに比べて公開されていない会社が多い項目です。FAXでの営業を考えているなら、送りたい地域と業種でFAX番号がある件数が足りるかを、先に確かめておくと計画を立てやすくなります。業種ごとの連絡先の公開率は業種別に数えた結果にまとめています。

FAXとメールでは、見る法律が違う

FAXの営業案内で見る法律は、特定電子メール法ではなく特商法第12条の5です。承諾のない送信は原則として禁止で、拒否されたら止め、記録を残し、拒否の方法を書きます。事業者あての送信が適用除外になるかは契約の目的で決まり、FAXについて個別に書いた公式な記述は見当たりませんでした。だからこそ、停止の受付先をFAXに書き、「送らない」印をリストで管理しておくことを、編集部は法律の適用にかかわらずすすめています。

FAX番号つきのリストは、リストハブの地域と業種を選ぶ画面で条件を選ぶと、FAX番号がある会社の件数を見ながら作れます。

集計の方法:リストハブに収録している企業・店舗のうち、47都道府県の住所がある2,755,460件を母数に、FAX番号の欄が空でない件数(229,133件)とその割合を2026年9月30日に集計しました。

確かめた資料(2026年9月30日に確認)

この記事は法律の一般的な説明です。個別の判断は専門家に確認してください。


この記事は、営業リストの作成サービス「リストハブ」を運営するミルブレインズ合同会社の編集部が書いています。数字は、リストハブに収録している企業・店舗のデータを編集部が数えたものです。数え方と編集方針は「データの集め方・数え方と編集方針」にまとめています。誤りに気づいた方は、運営会社のページからお知らせください。

地域と業種を選ぶだけで、営業リストの件数がすぐ分かります

リストハブでは、全国約 270 万件の企業・店舗から、電話・メール・お問い合わせフォームのある会社を絞り込んでリストにできます。納品される CSV の中身は、買う前に見本で確かめられます。

営業リストを作る

ほかのコラム

コラムの一覧へ