営業リストの重複は、Excelの「重複の削除」で消せます。ただ、どの列で判定するかを間違えると、別の店まで消えてしまいます。消す前にCOUNTIFで印を付けて確かめる方法、UNIQUE関数、表記ゆれをそろえてから判定する式、チェーン店の扱いまでを説明します。
重複の削除ボタンを押す前に決めることは、1つしかありません。「どの列が同じなら、同じ相手とみなすか」です。電話で営業するなら電話番号、郵送なら会社名と住所というように、連絡に使う列で判定します。ここを間違えると、消してはいけない店の行まで消えます。
営業リストを複数のサイトから集めたり、何回かに分けて買ったりすると、同じ会社が何行も入ります。そのまま電話をかければ同じ相手に2回かけることになり、メールなら同じ文面が2通届きます。反対に、「株式会社」と「(株)」のように書き方が違うだけの行は、同じ会社でも重複として見つかりません。
以下では、Excel で重複を消す3つの方法と、表記ゆれをそろえてから判定する式、チェーン店の本部の番号のように重複していても消さないほうがよい行の考え方を扱います。
電話番号でまとめると、リストは約2割減る
リストハブのデータで、9桁以上の電話番号がある2,603,871行を番号ごとにまとめると、2,078,117行になりました(2026年9月30日時点)。電話番号の列だけで重複を消すと、リストは約2割減る計算です。どんな番号が重なっていたかの内訳は「テレアポ用のリストの記事」に載せています。
始める前に、元データを残して「何が同じなら重複か」を決める
Excel の「重複の削除」は、行を完全に削除します。直後なら[元に戻す](Ctrl + Z)で戻せますが、保存して閉じたあとは戻せません。Microsoft も、元の範囲を別のシートやブックにコピーしてから行うよう勧めています。作業の前に、次のどちらかをしておきます。
- ファイルを別の名前で保存しておく
- 元のシートをコピーして、コピーしたほうで作業する
そのうえで、重複の判定に使う列を決めます。使う列は、営業の手段によって変わります。
| 営業の手段 | 判定に使う列 | 同じ列で消すと困る例 |
|---|---|---|
| 電話 | 電話番号 | チェーンの各店に本部の番号が載っていると、店ごとの行が1行に減る |
| メール | メールアドレス | 同じアドレスでも会社名が違う行(グループ会社で共通の窓口など)が1行に減る |
| お問い合わせフォーム | フォームのURL | 予約サイトなどの共通フォームを使う店が1行に減る |
| 郵送DM | 会社名と住所 | 会社名だけで判定すると、別の地域にある同じ名前の会社が消える |
電話営業なのに会社名で判定したり、DMなのに電話番号で判定したりすると、目的に合わない行が消えます。判定に使う列は、連絡に使う列と同じにするのが基本です。
Excel で重複を消す3つの方法
Excel で重複を消す方法は、手早さと確かめやすさの違いで3つあります。
| 方法 | 向いている場面 |
|---|---|
| 重複の削除 | 判定に使う列の書き方がそろっていて、すぐに消したいとき |
| COUNTIF で印を付ける | 何が消えるかを先に見て確かめたいとき |
| UNIQUE 関数 | 元のリストに手を付けず、別の場所に一覧を作りたいとき |
方法1:「重複の削除」で消す
いちばん手早い方法です。リストのA列に会社名、B列に住所、C列に電話番号、D列にメールアドレスが入っているとします。
- リストの中のセルを1つ選ぶ
- [データ]タブの[重複の削除]を押す
- 列の一覧で[すべて選択解除]を押し、いったんすべての印を外す
- 判定に使う列(電話営業なら電話番号)だけに印を付ける
- [OK]を押す
- 削除された重複の数、または残った値の数が表示されるので、数を控えておく
気をつけたいのは、次の2点です。
まず、同じ値の行が複数あるとき、残るのは一番上の行です。Microsoft の説明では、最初に出てきた値が残り、ほかの同じ値は削除されます。住所が詳しく入っている行や、担当者名がある行を残したいなら、実行の前に並べ替えて、残したい行を上に持ってきます。
次に、比べるのはセルに表示されている内容です。「03-1234-5678」と「0312345678」は同じ番号でも、表示が違うので別の値として扱われ、両方とも残ります。書き方がそろっていないリストでは、後で説明する「そろえた列」を作ってから判定します。
6で表示された数が思ったより多いときは、すぐに[元に戻す]を押し、方法2で中身を確かめてからやり直してください。
印を付けなかった列も、行ごと消えます。電話番号だけに印を付けた場合、電話番号が同じなら、会社名や住所が違っていても2行目以降の行がまるごと削除されます。
方法2:COUNTIF で印を付けて、目で確かめてから消す
重複の削除は、何が消えたかが画面に残りません。数百行を超えるリストや、初めて扱うリストでは、先に印を付けて中身を見てから消します。
C列の電話番号で調べる場合、E列とF列に次の式を入れて、最後の行までコピーします。
| 列 | 1行目の見出し | 2行目の式 | 分かること |
|---|---|---|---|
| E | 件数 | =COUNTIF(C:C,C2) |
その電話番号がリストの中に何行あるか |
| F | 重複 | =IF(COUNTIF($C$2:C2,C2)>1,"2行目以降","") |
同じ番号の2行目以降に印が付く |
E列の式は、C列全体の中に C2 と同じ値がいくつあるかを数えます。1なら重複なし、2以上なら同じ番号の行がほかにもあります。
F列の式は、数える範囲を「2行目から自分の行まで」にしています。$C$2 は下へコピーしても動かず、C2 の部分だけが C3、C4 と変わります。そのため、同じ番号が初めて出てきた行には印が付かず、2回目以降の行にだけ「2行目以降」と入ります。
印を付けたら、次の順に確かめます。
- E列の大きい順に並べ替える
- 件数の多い番号から、会社名と住所を見比べる
- 同じ会社なら、F列の印が付いた行を消してよい
- 店名や住所が違うなら、F列の印を消し、行を残す(チェーン店の扱いは後の章で説明します)
- フィルターでF列が「2行目以降」の行だけを表示し、まとめて削除する
COUNTIF では、大文字と小文字は区別されません。メールアドレスの列で調べると、「Info@」と「info@」は同じ値として数えられます。
方法3:UNIQUE 関数で、重複のない一覧を別の場所に作る
元のリストには手を付けず、重複を除いた一覧を別の場所に作る方法です。UNIQUE 関数は、Microsoft 365、Excel 2024、Excel 2021 などの新しい版で使えます。それより古い版の Excel にはありません。編集部の古い版の Excel でこの式を入れると、「#NAME?」と表示されました。
新しいシートのA1に、次の式を入れます。
=UNIQUE(Sheet1!C2:C1000)
Sheet1 のC2からC1000までの電話番号から、重複を除いた一覧が縦に並びます。C1000 の部分は、リストの最後の行に合わせて変えてください。結果は式を入れたセルから下へ自動で広がるので、下のセルは空けておきます。
列を複数まとめて渡すと、行全体が同じものだけを1つにまとめます。
=UNIQUE(Sheet1!A2:D1000)
この式では、会社名・住所・電話番号・メールアドレスの4列がすべて同じ行だけが1行になります。電話番号だけが同じで住所が違う行は、別の行として残ります。
3つ目の引数に TRUE を入れると、1回しか出てこない値だけが返ります。
=UNIQUE(Sheet1!C2:C1000,FALSE,TRUE)
こちらは、重複していない番号だけの一覧です。元の一覧との差を見れば、どの番号が重複していたかが分かります。
UNIQUE の結果は式なので、元のリストを変えると結果も変わります。別のソフトに渡すときは、結果をコピーして、値として別のシートに貼り付けてから保存してください。
表記ゆれがあると、同じ会社でも重複にならない
ここまでの方法は、どれも「まったく同じ文字」だけを重複と判定します。営業リストでは、同じ会社でも書き方が違うことがよくあります。
| ゆれの種類 | 例 |
|---|---|
| 会社の種類の書き方 | 株式会社サンプル商事/(株)サンプル商事/㈱サンプル商事 |
| 全角と半角 | ABC食堂/ABC食堂 |
| スペース | サンプル 商事/サンプル商事/サンプル 商事(全角スペース) |
| 電話番号の区切り | 03-1234-5678/0312345678/03(1234)5678 |
表の会社名と電話番号は説明のための架空のものです。
こうしたゆれは、元の列を直すのではなく、そろえた値を入れた列を別に作って判定します。元の列は、表示や連絡のためにそのまま残しておきます。
会社名をそろえる式
会社名がA列にあるとき、空いた列に次の式を入れます。
=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(ASC(A2),"株式会社",""),"(株)",""),"㈱","")," ","")
内側から順に読むと、次のことをしています。
-
ASC(A2)で、全角の文字を半角にする。「(株)」の括弧や全角スペース、カタカナも半角になる - 1つ目の SUBSTITUTE で「株式会社」を消す
- 2つ目で「(株)」を消す
- 3つ目で「㈱」を消す
- 4つ目で半角スペースを消す
SUBSTITUTE は、文字列の中の指定した文字を別の文字に置き換える関数です。置き換える文字に ""(何もない文字)を指定すると、その文字を消せます。
有限会社の「有限会社」「(有)」などもそろえたいときは、同じ形で SUBSTITUTE を外側に重ねます。括弧の数は、SUBSTITUTE を1つ足すごとに1組増えます。
この列で判定すると、「株式会社サンプル商事」と「サンプル商事株式会社」も、同じ「サンプル商事」になります。カタカナが半角になって見慣れない形になりますが、この列は比べるためだけに使うので問題ありません。一方で、別の地域の同じ名前の会社も同じ値になります。会社名で重複を探すときは、そろえた会社名に住所や電話番号を並べて、目で確かめてから消してください。
電話番号をそろえる式
電話番号も、会社名と同じく ASC で半角にしてから、SUBSTITUTE でハイフン・括弧・スペースを消した列を作って判定します。式の組み立て方と、消えた先頭の0の戻し方は「電話番号の書き方をそろえる」にまとめています。
チェーン店の本部番号は、重複していても別の店として扱う
リストハブのデータには、10行以上が同じ電話番号を使っているグループがあります。こうした番号の多くは、チェーン店の本部や予約センターだと考えています(推測)。
このような行を消すかどうかは、営業の手段で決めます。
| 営業の手段 | 本部番号が同じ行の扱い |
|---|---|
| 電話 | どの行にかけても同じ窓口につながる。1行だけ残す |
| 郵送DM | 住所は店ごとに違うので、それぞれの店に届く。電話番号では消さない |
| 訪問 | 店ごとに訪ねられる。電話番号では消さない |
電話営業では、同じ番号に何回かけても、出るのは同じ本部の担当者です。1行だけ残し、ほかの行は外します。
DMや訪問では、店ごとに相手が違います。電話番号が同じでも、住所が違えば別の行として残します。電話番号で重複の削除をすると、店の行がまとめて消えるので注意してください。
判断に迷ったら、方法2の COUNTIF で件数の多い番号を並べ、会社名と住所を見比べます。同じ番号に違う店名と違う住所が並んでいたら、その番号は本部か予約センターの番号である見込みが高くなります。電話営業に向いたリストの考え方は「テレアポ用のリストの記事」に、フォームの共通窓口の見分け方は「本部・予約サイトのフォームの見分け方」にまとめています。
リストハブでは、買う前に重複をまとめられる
リストハブの見積りの画面では、購入の前に重複をまとめられます。まとめ方は「同一店舗」「電話番号が同じ」「メールアドレスが同じ」「フォームURLが同じ」「FAX番号が同じ」から選べます。電話営業なら電話番号、メール営業ならメールアドレスというように、使い道に合わせて選んでください。ただし、条件に合う件数が30万件を超えるときは、この機能は使えません。その場合は、地域や業種で条件を分けて見積もるか、購入後にこの記事の方法で重複を消してください。
まとめ
営業リストの重複は、次の順に消すと、消してはいけない行を残せます。
- 元のファイルを別の名前で保存する
- 判定に使う列を、連絡に使う列と同じにする
- 書き方がそろっていなければ、ASC と SUBSTITUTE でそろえた列を作る
- COUNTIF で件数と印を付け、件数の多い値から中身を確かめる
- 電話営業なら本部番号は1行にまとめ、DMや訪問なら店ごとに残す
- 残す行を上に並べ替えてから、重複の削除か、印の付いた行の削除を行う
リストの作り方全体の流れは「営業リストの作り方」に、業種ごとの連絡先の載り方は「業種別に数えた記事」にまとめています。
集計の方法:リストハブに収録している企業・店舗のうち、9桁以上の電話番号がある2,603,871行を、2026年9月30日に電話番号ごとにまとめて数えました。まとめたあとの行数は2,078,117行です。10行以上が同じ番号を使うグループが本部や予約センターの番号だという点は、行を1つずつ確かめた結果ではなく、編集部の推測です。記事の中の会社名と電話番号の例は、説明のための架空のものです。
確かめた資料(2026年9月30日に確認)
- Microsoft サポート「一意の値をフィルター処理するか、重複する値を削除する」
- Microsoft サポート「COUNTIF 関数」
- Microsoft サポート「IF 関数」
- Microsoft サポート「UNIQUE 関数」
- Microsoft サポート「SUBSTITUTE 関数」
- Microsoft サポート「ASC 関数」
記事の式(UNIQUE を除く)は、編集部の Windows の Excel で、架空の会社名と電話番号を入れて結果を確かめています。編集部の Excel は UNIQUE が使えない版のため、UNIQUE の動きは Microsoft の説明によります。
この記事は、営業リストの作成サービス「リストハブ」を運営するミルブレインズ合同会社の編集部が書いています。数字は、リストハブに収録している企業・店舗のデータを編集部が数えたものです。数え方と編集方針は「データの集め方・数え方と編集方針」にまとめています。誤りに気づいた方は、運営会社のページからお知らせください。